「生じゃないビールって、どんなのだろう?」
先日、定食屋に出かけたときのこと。
メニューを見て、そんなことを思いました。
「取り敢えず、生で!」
なんて威勢良く頼む人がいるくらいには、
生ビールという言葉は根付いているわけです。
わざわざ「生」と付けるからには、
「生じゃないビール」が存在しているということになります。
でも
「生肉」と「焼肉」、
「生卵」と「茹で卵」みたいな感じで、
「生じゃないビールを指す名称」
が思い浮かびません。
だって「焼きビール」とか「茹でビール」とか「蒸しビール」って、
聞いたことがありませんよね?
「生」以外にビールに付く言葉といえば、
「缶」「瓶」「ドラフト」「ドライ」「ラガー」とかですが…
「アサヒ本生ドラフト」
という缶ビール(正確には発泡酒)があるところを見ると、
「生ビールかつ、ドラフトビールかつ、缶ビール」
というのも成り立つのでしょう。
ますますよくわからなくなったので、
「生じゃないビールって何なの?」
と詳しく調べて、まとめてみました!
(続きはこの下)
そもそも生ビールの定義って?
(フレッシュな印象を受ける名称だ)
生ビールの定義は、国によって違います。
日本の場合は、
「熱処理をしていないビール」のことを、
生ビールと呼ぶのが一般的です。
加熱処理をされていなければ、
瓶ビールでも缶ビールでも生ビールです。
因みに海外だと、
「樽から直接汲み上げるものが生ビール」
だというところもあります。
そういう国の基準だと、
加熱処理をされていても生ビールと呼ぶ代わりに、
缶や瓶に詰めて保存すると、
生ビールではなくなるというわけですね。
この2つの定義であれば確かに、
「処理の過程であれ加熱したものは、生とは言えなくなる」
というほうが、私たち日本人の感覚に合っていますね。
生じゃないビールってどういうこと?
ここまでの内容で、国内の場合、
「生じゃないビールとは、熱処理されたビールのことだ」
ということはわかりました。
すると今度は、
「熱処理されたビールって、どんなの?
たまに話題になるホットビールのことを指してるわけじゃないよね?」
という疑問が浮かんで来た方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
なので、もう少し詳しく説明していきます。
そもそもビールをはじめとしたアルコール類は、
酵母(微生物)によって、材料を発酵させて製造します。
しかし発酵させすぎると良くないので、
適度なところまで発酵させたら、
そのあとは酵母を除去しなくてはなりません。
この除去の方法で代表的なものは
「加熱に除去」と「濾過による除去」です。
ここで加熱による除去を行ったものが「生じゃないビール」にあたるわけですね。
ちなみに昔は、
濾過や保存の技術がイマイチだったので、
生ビールは生産工場の地元だけで飲めるものでした。
また「この熱処理されたビールは、ラガービールのことだ」と認識する人たちも少なくありませんが、
これは正確ではありません。
「ラガービール」というのは、
「下面発酵酵母を使った貯蔵工程で熟成させたビール」のことです。
酵母の処理方法ではなく、醸造方法によって決まる名称だからです。
実際に日本のメジャーなラガービールのなかには、加熱処理してないものもあります。
例えば「キリンラガー」は、
名称通りにラガービールですが、同時に生ビールです。
生じゃないビールの具体例
では、生じゃないビールはどれなのか?
市販されているビールのなかから、
具体的に紹介していきましょう。
★キリンクラシックラガー
クラシックと付く通り、
昭和40年頃に行っていた熱処理製法で作られたビール。
苦味が強いですが、案外飲みやすいと好評。
加熱処理してあるビールのなかでは、
一番入手しやすいと思います。
★アサヒスタウト
クセが強めの黒ビール。
通の間では、大手メーカーのものと思えないくらいに美味しいと好評。
イギリス式の上面発酵酵母にて醸造し、
熱処理もしてあるなど、
現在の国内ビールのメジャー路線とは真逆。
アサヒビールのなかではマイナーな銘柄なので、
見つけるのは少し大変かも知れません。
★サッポロラガー
基本的には業務用・大瓶&中瓶のみでの展開。
居酒屋だと割と見かけます。
また毎年、数量限定で缶ビールも市販されています。
公式サイトによると、サッポロラガービールは、
明治10年(1877年)にサッポロビールの前身である開拓使麦酒醸造所から発売されて以来受け継がれている
日本で最も歴史のあるビールブランドなのだそうです。
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比較的、手に取りやすい銘柄だと、
このあたりまでですね。
あとは期間限定で販売されている
「キリン秋味」もそうですね。
生ビールも熱処理ビールもそれぞれの味わいが
以上、
「生じゃないビールってどんなの?」
という疑問への回答でした。
日本だと
「生ビールこそが一番!」という人が多いですし、
そもそも飲む機会も少ないものです。
でも熱処理されたビール特有の良さもあります。
特にビールの苦味が好きな方にはオススメですよ。