夏の暑い時期に高温障害を起こすのは、
人間などの動物だけではなく、野菜・花などの植物も同じです。
高温障害は夏の悪環境のなか生き残ろうと
植物が活動の一部を抑えた結果起こる状態なので、病気ではありません。
とはいえ、植物の機能や外観に良くない影響を及ぼします。
そのため、出来るだけ対策を立てて、予防・改善したいところです。
このページでは、高温障害対策の基礎と、
トマト(ミニトマト)、ゼラニウム、稲といった
高温障害の症状が問題になりやすい野菜・花について解説していきます。
野菜・花などに出る高温障害対策の基本
そもそも高温障害というのは、
涼しくなれば自然と改善されていくものです。
なので可能ならば、より涼しい環境への移動、
もしくは温度調整出来る環境の構築が望ましいといえます。
とはいえ、それが難しいケースも多々あることでしょう。
特に地植えの場合や、栽培している数が多い・範囲が広い場合の温度調整は、
そう簡単には出来ないのが普通です。
そういう場合は、高温障害の原因そのものの改善は諦めて、
「問題となる症状を軽減するための対処」をしていきましょう。
具体的な内容については、
次の項目で紹介していきます。
(下に続く)
高温障害になりやすい植物の代表的症状とその対処
高温障害によって現れる症状は、
その野菜や植物によって異なります。
代表的なものをいくつか紹介しますので、参考にして下さい。
★トマトの高温障害とその対策
高温障害になりやすい野菜の代表格ともいえるトマト。
そんなトマトが高温障害になったときに問題になりやすいのが、
「実が出来づらくなる(=着果率の低下)」という症状です。
トマトは1日の平均気温が27度を越えたあたりから、
花付きが悪くなり、花粉の機能も低下してしまいます。
そうなると受粉が成立しづらくなりますから、
実もなりづらくなるわけです。
これを解決する方法としては、
早朝の涼しい時間帯(花の状態が比較的良い)に、
ホルモン処理を行うのが一般的です。
ホルモン処理というとなんだか難しそうな響きがしますが、
実際はそうでもありません。
市販されているホルモン剤を花に噴射するだけで構いません。
下記のようなスプレータイプを使えば、かなり楽に出来ます。
注意点としては、茎を傷めないようにすることと、
同じ房に何度もホルモン処理をしないことです。
複数回ホルモン処理をすると、
奇形が出来やすくなってしまうので止めておきましょう。
★ゼラニウムの高温障害とその対策
夏の花壇を彩ることも多いゼラニウム。
暑い中でも花を咲かせる強い植物である反面、
高温障害で葉が変色しやすい植物でもあります。
↑こちらの動画にて、高温障害によって葉が白っぽくなったゼラニウムが閲覧可能です。
対処については動画内でも説明があっているとおり、
「石灰などのカルシウムが入っている肥料を根本にやる」
という方法が基本となります。
★稲の高温障害とその対策
稲は本来、日照りに強い農作物です。
しかし近年の温暖化の影響もあり、
稲が高温障害を起こすケースも増えています。
稲の場合、高温障害が起きると
「未熟な米粒が出来やすくなる」「亀裂が入った米粒が出来やすくなる」などの症状が現れます。
シラタ(白米に混じっている白く濁ったお米がコレ。未熟なお米)や割れたお米の割合が高くなるため、
お米の品質が下がってしまいます。
米農家にとっては大きな問題です。
稲の高温障害対策は大がかりなものが多く、内容も多岐に渡ります。
品種自体を耐性があるものに変える、
土づくりから変えていく、施肥を工夫するなど様々です。
こちらのサイトでわかりやすくまとめられているので、
稲の高温障害に悩んでいる方はチェックしてみてはいかがでしょうか。
高温障害対策は今後ますます重要に!?
以上、野菜や花などの高温障害とその対策についてでした。
出来れば涼しい環境を用意してやりたいところですが…
地球温暖化が進んでいるこの状況を考えると、
野菜や花への高温障害対策は、ますます重要になるかも知れませんね。