エコクリーナーとして、
話題になっている重曹ペースト。
ただこの重曹ペースト、
実に賛否両論なんですよ。
汚れがイマイチ落ちないどころか、
「重曹がペーストにならない」
「重曹を水で溶かしても
ペースト状で掃除に使えるほど、
密着性があるものにはならない」
などとという声もちらほら…。
いったい何が正しいのか?
わからなかったので、
実際に試してみました。
いざ!重曹ペースト作り
実際にやってみて感じたのは、
「重曹がペーストにならない」
という声はきっと、
「こんなのペーストと呼べない」
という思いから来てるんじゃないかということ。
実際に重曹に水を
少しずつ馴染ませながら
作ってみたのですが…
うーん。
一応ペーストっぽくなったけど、
なんかシャクシャクしてるというか…
粒々感がなくならないし、
粘度もないんですよね。
これが重曹ペースト?
と首をかしげました。
でもネットで検索して出て来た重曹ペーストも、
これと同じ状態だったので…
これのことを重曹ペーストと
人は呼んでいるのでしょう。
それは正しい呼び方なのか?
と気になって
ペーストという言葉を
wikiで調べてみたら
「流動性と高い粘性のある物質」
と書いてありました。
この重曹ペーストっぽいものには
粘性(=ねばりけ)がほとんどありません。
つまりペーストと呼べるかどうか?は、
かなりあやしい…というか、
厳密に言うとアウトだと思います。
なので
「重曹はペーストにならない」というほうが正しい
あくまでも重曹ペーストもどきですね…
でもこの記事では便宜上、
この重曹ペーストっぽいものを、
重曹ペーストと呼んでいきますm(_ _)m
重曹ペーストのレビュー
正直なところ、
出来上がった時点で
「これを洗剤代わりに?
すごく使いづらそうなんだけど…」
という思いでいっぱいです^^;
でもせっかく作ったので試してみます。
カビだらけの浴室に塗ってく様子を
撮った動画なんですが…
みてわかるとおり、
上手く伸びません><
カタマリごと、
ぼとっと落ちたりもして、
本当に使いづらい( ;∀;)
伸びが悪いし、
粘着力もありません。
壁でこれですからね。
ときどき見かける
「風呂場の天井のカビを
重曹ペーストで掃除!」
なんていうのは、
やりづら過ぎてかなわないでしょ…。
「ラップで密着させる」
なんて方法も出て来ましたが、
ラップを天井や壁にって
エコじゃないよね…。
ラップも労力も
もったいなさすぎ!
汚れが落ちるかどうか以前の問題!
ストレス溜まって無理っ!
さっきも言ったけど、
本当に使いづらい!
ということで、
重曹ペーストの使用は途中で断念。
代わりに高濃度の重曹水で
試してみることにしました。
重曹水にリメイク
ということで、
余った重曹ペーストにお湯を足しまして…
濃度が高い重曹水を作成。
温度高めのお湯(65℃以上)で溶かしたので、
炭酸ソーダになっています。
この状態になると、
重曹水は炭酸ソーダ水となって、
アルカリ性が高まる
(洗浄力も高まる)のですが…
カビは落ちますかね。
取り敢えず風呂場中にスプレーして回って、
30分ほど放置!
その後、スポンジで擦ってみたんですが…
お風呂のイスのカビは、
この通り残ってしまって…
こびりついたカビを
落とすほどのパワーはありませんでした。
重曹で出来ること出来ないこと
そもそも重曹は
弱アルカリ性(pH8.2)で
少し研磨が出来るくらいの粉末です。
また重曹水にしてしまうと、
液体になるため、
研磨作用は期待できなくなります。
実際にやってみた結果からも、
こうした事実からも、
重曹は風呂場のカビ掃除に向かない
という結論になりました。
でもエコで安全性も高いのは確かですし、
酸性の臭い(生ゴミや排水口の臭いなど)を
和らげる効果は充分期待できます。
浴槽の縁(フチ)でザラつく部分があったので、
重曹ペーストで研磨してみると、
ツルツルになりました。
研磨作用もある程度は期待できるので、
出来たばかりのカビなら、
研磨して落としてしまえるでしょう。
「重曹は万能な洗浄アイテム」
というように言われている記事も
見かけるのですが、
そんなことはありません。
そもそも弱アルカリ性だから、
同じアルカリ性の汚れや臭いには、
効果が期待できませんし…。
(例えばトイレのアンモニア臭は
アルカリ性なので
重曹では除去出来ません)
重曹に期待し過ぎないようにしましょう。
重曹+○○は?
ここまでの記事で、
「重曹ってあまり強くないんだな」
ということは、
わかってもらえたと思います。
じゃあ
「重曹に酸素系漂白剤を混ぜたペーストは?」とか
「重曹+クエン酸は?」とか
思った方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
重曹+酸素系漂白剤
カビ掃除で時々出て来る
この組み合わせ。
「重曹+酵素系漂白剤+ぬるま湯」
というレシピなんですけど、
これは混ぜる意味がありません。
酸素系漂白剤(過酸化ナトリウム)だけで洗ったほうが、
よくカビが落ちるからです。
下手にぬるま湯で混ぜると、
その間に酵素系漂白剤の酵素が飛び、
洗浄力が下がってしまいます。
また重曹が合わさることで、
特別な変化が起きて洗浄力UPとか、
粘度が上がって
ペーストとして使いやすくなるとかいう事もありません。
重曹の研磨作用を期待する場合でも、
重曹単品で使ったほうが良いで、
やっぱり混ぜないほうが良いのです。
「無理にでも重曹でカビ掃除がしたい」
という事情でもなければ、
ワザワザ混ぜる必要はないでしょう。
重曹+クエン酸
重曹とクエン酸の組み合わせは
条件次第です。
前提として、
重曹はアルカリ性、
クエン酸は酸性なので、
この2つが混ざると中和反応が起きます。
このとき泡が出るのですが、
「この泡で汚れが落ちる!」
と書いてあるサイトもよく見かけますね。
でも…
中和反応はお互いの性質を打ち消し合う反応です。
なので泡の勢いで汚れが剥がれる程度の効果しか
実はありません。
泡の勢いより、
ブラシなどで軽くこする力のほうが普通は強いので、
それ以下しか期待できないということですね。
ただ重曹で掃除したあとの
拭き取りにクエン酸を使うのは効果的です。
重曹で掃除をすると、
白っぽく跡が残ることがあるのですが、
これをクエン酸は中和しながら拭き取ってくれます。
また重曹と逆の性質なので、
重曹で落とせなかった汚れや臭いを、
クエン酸で掃除すると
落ちることが度々あります。
つまり同時に使っても効果が薄いが、
順番に使えば効果的な場合があるということですね。
重曹+65℃以上のお湯
上で重曹水(厳密には炭酸ソーダ水)を
作ったときにも書きましたが、
重曹を65℃以上のお湯で溶かすと、
炭酸ソーダ水が出来上がります。
このとき性質が変化して、
重曹のアルカリ性(ph8.2)が、
ph11.2まで上がるのです。
アルカリ性が高くなれば、
それだけ酸性の汚れや臭いを
落とす作用も高くなります。
なので重曹の効果を高めて使いたいなら、
65℃以上のお湯+重曹はオススメです。
ただアルカリ性が高まる分、
肌への刺激も高くなるので、
取り扱いには注意が必要です。
重曹を使う上での注意点
エコで安全性も高いことで知られている重曹。
とはいえアルカリ性ですから、
人間の肌(弱酸性)には刺激となりますし、
使ってはならない素材もあります。
主に以下のような素材です。
黒く変色します。
■ワックスされたフローリング
ワックスが剥がれることがあります。
■畳・木材
黄ばんだシミになることがあります。
■柔らかい素材の家具や塗装面、床
研磨剤でもあるので、
ダメージを与えてしまうことも。
また重曹+クエン酸のところでも書いた通り、
重曹を使ったあとが、
白っぽく残ることがあります。
丁寧に洗い流す、
クエン酸で中和しながら拭き取るなどの
対策を取るようにしましょう。
まとめ:適切な使い方をしよう
残念ながら、
重曹はペースト状になりませんでした。
とはいえ、それっぽいものは出来ますし、
掃除にある程度は使えます。
例えばちょっとした酸性の汚れや、
ザラつきを取りたいときは、
重曹の出番です。
逆にこびりついたカビを
引き剥がすようなパワーはありません。
重曹はいろいろなことに使える
エコ洗浄剤ではありますが、
万能ではありません。
「弱アルカリ性」「少しの研磨作用」
といった特徴を活かせるシーンで、
上手く活用していきたいところです。