藤袴(フジバカマ)の香りは、
万葉の時代から親しまれているものの1つです。
秋の七草に含まれているところからも、
それが窺えますね。
この記事ではそんな藤袴について、
どういう香りなのか、
藤袴の原種と雑種で香りに違いはあるのか?など、
香りに関する情報を紹介させていただきます。
生えているときはあまり香らない?
非常に良い香りがすると、
有名な藤袴ですが、
「実際に藤袴の匂いを嗅いでみたが、
あまり香りがしない…。」
とガッカリされる方も、
ときどきいらっしゃるようです。
それもそのはず。
藤袴は生の状態だとあまり香りがしません。
また良い香りがするのは、
花の部分ではなく、
茎や葉っぱの部分です。
茎葉を摘んで、少し乾燥させてみて下さい。
よく香るようになります。
形容するならどんな香り?
身近なものでいうと、
桜餅に近い香りです。
基本的には甘さが前面に出ているのですけど、
そこに少しスッキリとする要素が混じっているというか、
スーッとするシナモンに近いような匂いも混じっているというか…
古くから愛されているのも
頷ける香りです。
園芸店で見かける藤袴は雑種!?
(似ているけれど原種ではない)
さてそんな素敵な香りがする藤袴ですが…
実は園芸店で見かけるものの、
ほとんどは雑種です。
特に沢藤袴(サワフジバカマ)という、
藤袴と沢鵯(サワヒヨドリ)の雑種が、
藤袴として売られているケースが多く見られます。
とはいえ沢藤袴の香りは、
藤袴の香りの特徴を引き継いでいます。
なので香りに関しては、
同じものとして考えて良いでしょう。
(厳密調査すると僅かに違うかも知れませんが、
嗅いでみた感じは同じです。
ちなみに沢鵯も見た目は藤袴によく似ています。
ただこちら匂いがほとんどしません。)
ちなみに原種の藤袴は、
現在、日本で自生できる地域が
少なくなってしまっています。
環境省のレッドリストにて、
「準絶滅危惧」に指定されているほどです。
今の日本で藤袴の香りを楽しみたいなら、
沢藤袴で妥協するのも手でしょう。
藤袴の香りを称える幾つもの「別名」
さて、上述したとおり、
今ではあまり見かけなくなった藤袴ですが、
昔は河原などに多く咲いていました。
なので芳香剤として愛用されていたのです。
藤袴の別名で有名なのは、
「蘭草」ですが、
他にもその香りを称えるような別名が幾つもあります。
例えば
「香水蘭、香蘭、王者香、國香」などです。
どれだけ好まれていたのか…
伝わってきますね。
以上、藤袴の香りについてでした。