この間読んだ漫画で、
「アスペルガー(ASD)の子が耳鳴りから、大きな地震を予知する」
という場面がありました。
その子はヒロインの親友なのですけど、
人と関わるのが苦手な反面、絵を描くことや、瞬時に記憶する能力がとても高いアスペルガー症候群の女子高生という設定です。
(以下、この少女のことをAちゃんと称します)
Aちゃんは地震がやってくる前に、
耳を抑え苦しがる様子を見せます。
そして数秒後に大きな地震がやってくるのです。
ここで私が気になったのは、
「この地震予知は漫画の世界だからなのか、
それとも現実に地震予知が出来るアスペルガーの人たちがいるのか」という点でした。
というのも以前に、地震耳という言葉のを聞いたことがあったからです。
この記事では、
・そもそも地震耳とは?
・地震耳は本当に存在する?
(耳鳴りのメカニズムについても)
・アスペルガーと地震耳が結び付けられる理由
・最終結論
といった流れで紹介していきます。
そもそも地震耳とは?
地震耳とは、
「地震と関連して何らかの症状を起こす耳のこと」
もしくは
「地震と関連して耳に現れた症状のこと」
に対して使われる言葉です。
※医学用語ではなく通称なので、厳密な定義…というものは、おそらくありません。
あくまでも「こういう意味合いで使われているよ」ということです。
地震耳として現れる症状のほとんどは耳鳴り。
他には耳圧や、
耳鳴り時によく起きるキーンとした痛みではなく、チクチクとした痛みを感じる場合もあるようです。
地震耳って本当に存在する?
本当に地震耳は存在するのか?
これはなかなか難しい質問です。
確たる証拠というのはないものの、
「本当にあるのではないか」とか「あってもおかしくない」と思われる根拠は幾つかあります。
まず実際に「自分は地震耳だ」と言う人がある程度存在する点。
そして関連性について調べている人たちもいます。
例えばこちらのツイッターアカウント。
こちらのアカウント「地震耳鳴りハザードマップ」では、
・居住地を登録してあるアカウントからの耳鳴りツイート
・その日、その地域で起きた地震の最大震度
上記を自動集計してくれています。
そしてプロフィールにある下記の一文。
自身の耳鳴りが地震と関係することを自認するTwitterユーザ(通称,地震耳)は10000人以上います。
なかなか興味深い数字ですね。
また昔から、
大地震前にネズミなどの小動物や鳥類が異常な行動をとっていた
という目撃情報は数多く挙がっています。
これはつまり
・大きな地震が起きるとき、事前に何らかの変化は起きている
・それは人間は感じ取れない変化だとされているが、感じ取れる生き物も存在する
ということです。
問題は「人間は感じ取れない変化だとされている」という点。
これ…一般的には確かにそうなのですが(私自身もそうです)、
人間の能力には個体差があります。
と、考えるとですよ。
「変化を感じ取れる個体がいても不思議じゃない」
「むしろいないほうが不自然だ」
っていう気がしてきませんか?
逆にネズミにだって、ボーッとしている個体もいますしね…。
(飼ってたラットが結構な地震が来る直前まで、のんびり餌を食べていて、
地震のあとも「え?え?」みたいな、
下手すると人間以上に鈍い反応だった…という話も聞いたことがあります)
★どうして地震予知で耳鳴りが起きるのか
さて…上記で
「地震を感じ取れる人がいても不思議じゃない、
むしろ存在するほうが自然じゃないだろうか?」
という話をしました。
ここで疑問が浮かんでくるのが、
「なんでそれが耳鳴りという症状につながるのか」です。
実は耳鳴りのメカニズムについて、まだ完全には解明されていません。
しかし耳鳴りの9割は難聴と関係があることや、耳鳴り自体は脳で発生すること。
「長時間大きな音に晒されると難聴(による耳鳴り)になりやすい」ことや、
「ストレスからくる突発性難聴(による耳鳴り)」があることなどはわかっています。
地震前になんらかの変化が起きているとすると、
微細な変化を聴覚などが捉えていて、それが負担になっている。
その結果、長時間大きな音に晒されたときに近いくらい疲れて耳鳴りがしたり、
いつもと違う様子がストレスとなり耳鳴りという症状が現れている。
という可能性は充分考えられます。