栗の受粉について基礎知識や受粉樹についてなどを紹介!
比較的丈夫で、痩せた土地でも育てやすい栗。
しかも上手くすれば1~2年目から収穫できます。
ただし自家不和合性が強い(同品種では受精しづらい)せいもあって、
受粉に悩む方々もいらっしゃるようです。
当記事では、栗の受粉について、
基本的なことはもちろんのこと、
受粉樹の相性、受粉樹との距離についても解説していきます。
栗の受粉の基礎知識
栗の花は穂の形態で咲くため、「花穂」というふうに呼ばれています。
この花穂には雄花のみをつける「雄花穂」と、
雌花と雄花どちらも付く「帯雌花穂」の2種類があります。
「一つの花穂に雌花と雄花が付くなら、自然と受粉しそう」
という気がするのですが、
先に触れたとおり、栗は他家受粉しなければ結実ししづらい
(別品種から受粉しなければ実が育ちづらい)性質を持っています。
1本でも全く受粉しないわけではありませんけど、確率はかなり低めです。
栗を収穫したいのであれば、
最低でも2品種、出来れば3品種、混植したいところです。
近くに植えておけば、風まかせでも受粉します。
(距離はだいたい6~7メートル程度開けると良い)
不安であれば、筆を使った人工受粉もすると良いでしょう。
ぽろたんなど品種ごと相性の良い受粉樹について
受粉をより効果的に行うには、
品種ごとの相性も考えたいところです。
受粉樹選びのポイントですが、
まず開花時期と交雑和合性(受粉しやすさ)に問題がない必要があります。
単に受粉させるだけなら、出来るだけ多くの品種を混植しておけば問題ありませんが…
渋皮剥皮性や果実重が受粉品種により変動することもあります。
なので販売を考慮する場合や、味にこだわりたいのなら、
「品質にマイナス影響が出づらいもの」を受粉樹として選びたいところです。
加えてどの栗がどの品種なのか?把握しやすくしておきたいなら、
収穫時期が被らないものもしくは外観で識別がしやすいものを選んだほうが良いでしょう。
栗は落下したものを収穫することが多いため、
混植した結果、どれがどの品種なのかわかりづらくなってしまうことも珍しくありません。
ここからは人気品種と相性が良い受粉樹を具体的に紹介しますので、
是非、参考にされて下さい。
(収穫時期の重複については、ぽろたん以外考慮していません)
【ぽろたん】
トースターやレンジで加熱すると簡単に渋皮が取れる点や、味の良さから人気が高い品種。
1粒あたりのサイズも25グラム程度と大きめ。
次に紹介する新品種「ぽろすけ」が互いに受粉樹になるのでオススメ。
他には収穫時期が9月上中旬なので、それと重ならず交雑和合性にも問題がない「美玖里」「石鎚」「岸根」や、
収穫時期が多少重なるものの、外観の差が大きく判別しやすい「利平ぐり」もオススメ。
混ざっても良いなら「高見甘早生」も相性が良い。
【ぽろすけ】
栗のなかでも収穫期が早いぽろたんよりも、
更に1週間ほど収穫期が早く、開花時期は重なる新品種。
(8月下旬から9月上旬)
ぽろたんと同じく、加熱すると渋皮が剥けやすい性質を持っており、
味も美味しいので、迷ったらこの2品種を交互に植えると良いだろう。
【美玖里(みくり)】
粉質で甘み強め、ほくほくとした食感を楽しめる品種。
収穫時期は9月下旬。
「ぽろたん」の受粉樹としての人気が高く、
他にも「紫峰」「高見甘早生」との相性も良い。
【高見甘早生(たかみあまわせ)】
豊産性が高く、たくさん穫れるため、観賞用としても人気が高い。
味も悪くなく、甘くてやや粘質性がある。
収穫時期は9月上旬~下旬と早め。
「紫峰」「銀寄」などが受粉樹として好相性。
【銀寄(ぎんよせ)】
「和栗らしい見た目」をした品種。日本の栗としてかなりメジャー。
収穫時期は9月下旬から10月上旬頃。
「高見甘早生」や「紫峰」が受粉樹としておすすめ。
【紫峰(しほう)】
栗栽培の大敵、クリタマ蜂への耐性がとても高い品種。
収穫時期は9月下旬。
受粉樹としては「高見甘早生」「銀寄」がおすすめ。
【傍士360号(ほうし360号)】
甘くて美味な中国栗。天津甘栗にも使われる。
収穫時期は10月中下旬と遅い。
受粉樹には「高見甘早生」や「銀寄」がおすすめ。
栗の品種は結構多いので、
ひとまずこんなところで…
また追加するかも知れません!
美味しい栗を収穫しよう!
以上、栗の受粉に関する基礎知識と、
受粉樹の相性についてでした。
栽培の仕方については、
こちらの記事に書いていますので、
よろしければ合わせてご覧下さい。