寒椿と山茶花って、どう違うの?
寒椿と山茶花って、
本当によく似ていますよね。
写真を見てみても、
こっちが寒椿で
こっちが山茶花。
うーん、そっくりです。
でも植物名が分けられているということは、
何か違いがあるはずですよね。
というわけで、
この記事では
「寒椿と山茶花の違い」や
それに関連した情報を紹介していきます。
一般に言われている寒椿と山茶花の違い
まずは一般的に言われている
寒椿と山茶花の違いをみていきましょう。
■寒椿は枝が横に伸びる。
そのため背丈が1メートル程度にしかならない。
山茶花はそれより背丈が高い。
(但し寒椿のなかでも
「獅子頭もしくは立寒椿と呼ばれる品種」は
例外的に背丈が伸びる。)
■山茶花の花びらが10枚程度なのに対し、
寒椿は14枚以上あるものが多い。
(ただし花びらの多い
山茶花の園芸種もある。)
■山茶花には花びらが
シワシワになるものが多いが、
寒椿はあまりシワシワにならない。
うぅむ、何だか例外もあるので、
参考程度の違い…という感じですね。
普通の椿と山茶花であれば、
散り方に判りやすい違いがあるのですが、
(椿は花ごとポトリと落ちるが、
山茶花は花びらが1枚ずつ散る。)
寒椿は散り方まで、
山茶花と同じです。
このため
「この2つの種類を
ハッキリ分けるのは困難」
「どちらも同時期に
華やかな花を咲かせるので、
同じものとして扱っている」
という方は専門家でも珍しくないようです。
寒椿には2つの種類がある!?
なんでこの2つは
こんなに区別が付きづらいのか!?
これには
ちょっとした事情があります。
まずは「寒椿」という花自体の
定義が曖昧であること。
そもそも寒椿には
2つの種類があると考えられています。
1つ目は
山茶花の品種としての寒椿。
2つ目は
中国原産(とされている)の純粋な寒椿です。
1つ目の場合、
学名も「カメリア・サザンクワ」で、
山茶花と同じです。
そのため山茶花の品種のなかでの
「カンツバキ系」として扱われます。
またカンツバキ系のなかにも
非常に多くの品種がありますが、
普通の山茶花よりは
やや遅い時期に咲くものがほとんどです。
(11~12月が最盛期)
有名どころだと「勘次郎」が
こちらのグループになります。
それに対し2つ目の種類は
「カメリア・ヒエマリス」という
また別の学名を持っています。
開花時期も1つ目の種類とは異なり、
12~2月と更に遅めです。
「どうして寒椿の分類が2種類あるのか?」
「まぎらわしいではないか」
と思った方もきっといらっしゃるでしょう。
これにはちゃんと理由があります。
もともと
「寒椿は山茶花の園芸種」と
考えられていたのに、
昭和末期、
中国で野生の寒椿が発見されたからです。
上記の経緯から2つ目の種類は
中国が原産だといわれています。
ただ本当に中国が原産か?
については、
ハッキリとした根拠がなく、
異説もあるため、なんとも言えません。
何はともあれ、
こうした背景をみると、
「寒椿と山茶花との違いが
イマイチはっきりしない」
のも無理ありませんね。
結論「正直はっきり分けられない」
現在、寒椿も山茶花も
「ツバキ科ツバキ属」に分類されており
それぞれ多くの園芸種が出ています。
また椿の種類自体も非常に多く、
国内だけでも500種類以上。
そのなかには例外的な品種も多くあります。
例えばよく言われる椿と山茶花との違いに、
「椿は花がそのまま花がそのまま落ちて、
山茶花は花びらが1枚ずつ散る」
というものがありますが、
花びらが1枚ずつ散る椿もあります。
なので、
「○○だから椿(もしくは山茶花)」
というふうに簡単に言い切れないのです。
また呼び名での混同もあります。
「紅サザンカ」という品種の山茶花があるのですが、
なんと別名が「立寒椿」です。
寒椿の扱いがハッキリとしておらず、
それぞれの品種がどんどん増えていく今、
寒椿と山茶花のみならず、
椿との違いも
どんどん分かりづらくなってきています。
このため椿なのか?寒椿なのか?
それとも山茶花なのか?には、
あまりこだわらずに、
「勘次郎」や「獅子頭」といった
もっと細かい品種単位で
見ていくほうが良いかも知れません。
大本の分類は同じだし、
ハッキリとした違いがないものを、
無理に分ける必要も感じませんからね。
観察するときは毛虫に注意!
以上、
寒椿と山茶花の違いについてでした。
よく似た寒椿も山茶花ですが、
どちらもチャドクガという毛虫が付きやすい傾向にあります。
このチャドクガの毛に触れると、
湿疹と強いかゆみが出るのでご注意下さい。
観察するときは、
なるべく素手で触らないようにしましょう。