日本の伝統おせち料理。
中に入っている料理は縁起が良いものだらけです。
それぞれに込められている意味を、
是非、大人だけじゃなく子どもにも知ってもらいたいもの…
そんな思いを込めて、
当記事ではおせち料理全体の意味とおせちに入っている料理の意味をわかりやすく解説していきます。
子どもにも伝わりやすい表現なのはもちろんのこと、
どんな料理かわかりづらいものには画像も
出来るだけ付けてみました。
お子さんや生徒さんなどへの説明などに役立つと嬉しいです^^
おせち料理全体の意味・由来
もともとおせち料理はお正月だけではなく、
特別なお祝いの日(今でいうひな祭りや子どもの日、七夕など)に、
神様にお供えしてから食べていたものです。
この神様にお供えして食べる料理のことを「御節供(おせちく)」と呼んでいたのが、
おせち料理という言葉のもとになりました。
いろいろな人たちに広まっていく間に、
1年の区切りとなる特別な日、お正月に食べる御節供を「おせち料理」と呼ぶようになっていったのです。
ちなみに昔のおせち料理は
その土地でとれた食物を中心とした内容でした。
神様への「こんな作物がとれたよ」「ありがとうございます」というお礼や報告でもあったのです。
だんだんとそれも変わってきて、今では
豪華で長持ちするものや縁起が良いものが中心になっていきます。
長持ちする料理が多いのは、お正月にお料理をしなくて良いようにです。
「いつもお家でお料理をしている人にも休んでもらう」というのはもちろん、
「かまどの神様にも休んでもらおう」という気持ちも込められています。
おせち料理の中身それぞれの意味
続きましておせちに入れられている料理、
それぞれの意味を説明していきます。
黒豆
黒豆には
肌が黒く日焼けするほど、マメ(豆)に働くようにという意味があります。
またわざとシワが出来るように煮て、シワが出来るくらい長生きするようにという願いを込めたり、
豆自体が持つ悪い気を追い払う魔除けとしての意味で入れられることもあります。
数の子
数の子は、ニシンという魚の卵(たまご)です。
とてもたくさんの卵を産む魚なので、
子孫繁栄(子ども、孫、ひ孫…とたくさん生まれて続いていくこと)を表す
縁起が良い食材とされています。
伊達巻(だてまき)
巻物の形に似ている点から、勉強が上手くいくようにという意味が込められています。
また伊達者(おしゃれな男性)という言葉から、
見た目が良い、おしゃれ、派手という意味も持った食べ物なので、
お正月のようなおめでたい時にはぴったりです。
きんとん
まるで黄金のような見た目と漢字で「金団」と書くところから、
金運を高める(お金がいっぱい集まるようにする)
縁起が良い食べ物だと言われています。
かまぼこ
松竹梅の柄や紅白の色で「おめでたさ」を表現。
また赤は魔除け、白は清浄(きれいな状態にする)を意味を持つとも言われています。
他にも形が日の出に似ていることから、
新年にぴったりだという見方もあるようです。
田づくり(ごまめ)
片口イワシの子どもを使った料理。
もともとイワシを刻んだものを畑にあげる栄養(肥料)に使っていたことから、
豊作(畑の作物が立派に育って、いっぱいとれること)への願いが込められています。
こんぶ
「よろこぶ」の「こぶ」が「こんぶ」に近いことから、
縁起が良いと言われています。
他にも「こぶ」を「子生」と書いて、
子孫が栄えていくようにという願いを込めることもあります。
ごぼう
ごぼうは土の中に深く根が張られる野菜です。
そこから
深くしっかりと栄えていく、
家業(その家の生活のための仕事や先祖代々やってきた仕事)が土地に根付くといった意味があります。
筑前煮(煮しめ)
いろいろな食材をまとめて煮るところから、
「家族が一緒に仲良く」といった願いが込められています。
煮る物自体も縁起が良いものが多いです。
すぐ上で紹介した
「ごぼう」や「こんぶ」の他にも、
同じく根の部分である「にんじん」や、
以下のような縁起の良いものが使われます。
里芋
里芋はひとつの種芋(種として使う芋)から、
たくさんの子芋が作れます。
このことから「たくさんの子どもに恵まれる」という意味があります。
れんこん
穴が開いていて、向こう側が見えるところから、
「見通しがきく(いろいろな事が上手くがいく未来が予想できる)」
という意味を持つ野菜です。
また極楽浄土に蓮の花(れんこんの花)が咲くことから、
汚れがなくてキレイな状態(清浄)を表すともされています。
手綱こんにゃく
結び目のように見えるところから、
「良い縁(良い関わり、つながり)」や
「家族の結びつきが良くなること」を祈ります。
他にも綱のように見えるので、
「手綱(たづな)※1を引き締める」という言葉から、
気持ちを引き締めるという意味も持っています。
※1 手綱とは、馬をコントロールするためにつける綱のことです。
エビ
腰が曲がったその見た目から、
「腰が曲がる(ご老人のイメージ)くらい長生き出来ますように」と
願う食べ物とされています。
また茹でると鮮やかな赤色になる点から、
お祝い事や魔除けとしての意味を持つことも。
ブリ
ブリは成長するにつれて呼ばれ方が変わる魚です。
地域によって呼び方は違いますが、
一例を挙げると
「フクラギ⇒ヤズ⇒ハマチ⇒メジロ⇒ブリ」
などという風に変わっていきます。
このことが
「係長⇒課長⇒部長」
というふうに出世していくイメージにつながり、
「出世魚」という縁起が良い魚だと言われているのです。
特に西日本では祝い事に欠かせない魚となっています。
鯛(たい)
定番の語呂合わせ「めで”たい”」はもちろん、
恵比寿さま(七福神の1人)が手に持っていることからも、
お正月にぴったり合う魚です。
紅白なます
色からもお祝いに使われる
水引き(※2)に見える点から、
めでたいことを連想させる食べ物だといわれています。
また大根もニンジンも根の部分の野菜なので、
ゴボウと同じく「家の土台をしっかり作る」「根付く」といった意味も込められています。
※2 水引きというのは下の画像の紐の部分です。
金柑(きんかん)
金柑は「金冠」、
つまり金の冠とも書けることから、
お宝のイメージに。
お正月に食べることで
「金運UPさせる、豊かな生活が出来るように」
という意味を持っています。
くわい
おせち料理以外では
あまり見かけない野菜の1つ。
角みたいな部分は大きな芽です。
この大きな芽から、
良い地位につき、有名になるなどの意味が込められています。
菊花かぶ
かぶを、菊の花の形に切ったもの。
多くの場合は、甘酢に漬けています。
菊は日本の国花で、お祝い事によく使われる花です。
このことから豊かに栄えることや健康、悪い気を払う、長生きを願うなどの意味を持っています。
おせちを入れるお重について
おせちの入れ物といえば、
やっぱり「お重」ですよね。
最近は、2~3段にされたものが多く、
1段のみのおせちも出てきています。
でも、もともとは
5段であることが多めでした。
何段目にどんな料理を詰めるかというのも、
基本的な形があります。
初の重(一の重)にはお正月らしい、いろいろなものを少しずつギッシリと、
二の重にはえびやぶりなどの海の幸を焼いたものを中心に、
三の重には煮物を中心とした山の幸、
与の重(四の重)には酢の物やちょっとつまめる物を、
五の重には何もいれずに開けたままにしておく
といったふうにです。
四の重が「与の重」なのは
「四はシ(死)とも読めて縁起が良くないから」です。
また「五の重が空っぽなのはなんで?」とお子さんが質問をしたら、
「神様から、福を授かって(いただいて・もらって)、
入れておく場所だからだよ」
「出来るだけたくさん福を入れられるように、
空っぽにしているんだ」
と教えてあげて下さい^^
おせちの祝い肴について
おせちの祝い肴(いわいざかな)というのは、
「お正月の席でのお酒のおつまみ」です。
何が祝い肴かというのは地域によって違いがあって、
関東では、黒豆・数の子・田づくり
関西では黒豆または田づくり・数の子・たたきごぼう
のそれぞれ三種となっています。
この祝い肴は、
「取り敢えずこれさえあれば新年を迎えられる」
と言われるくらい重く見られているものです。
お重を用意するのが難しい年は、
祝い肴だけでも用意するといいかも知れませんね。
日本の文化を引き継ごう
以上、子ども向けのおせちの意味の説明でした^^
子ども向けに書いたので、
一部意味を簡略化している部分や、
わかりやすい言葉に置き換えた結果、
言葉の趣き(おもむき)が変わってしまった部分もありますが…
おおまかな意味はこんな感じです(^^♪
まずは当記事の内容を読んでいただく。
そしてもっと大きくなったり、興味を持つようなら、
一般向けの説明も読んでみる(読むように薦めてみる)のも良いでしょう。
それでは良い正月をお過ごし下さい(^^)/