本来、剪定後の切り口の処理には癒合剤を使うものです。
しかしなかには、
「木工用ボンドや絵具(えのぐ)で充分!」
という声もあります。
専用アイテムのほうが良いのは当然ですが、
買う手間や費用がかかりますし、
他のもので済ませられるなら、済ませたいところ。
ボンドや絵具の他、ペンキや車のオイル、墨汁などを挙げる人も稀にいるようですが…
実際のところ、問題ないのでしょうか?
この記事では、
それぞれのアイテム別に、
「剪定後の切り口に塗る薬代わりになるかどうか」
を解説していきます。
アイテム別!木の切り口にコレ塗るの有り?
それでは早速いきましょう!
ボンド
結論から言うと、一般的なボンドは絶対にオススメ出来ません。
使うのなら木工用ボンドです。
(但し後述するデメリットも有り)
まず普通のボンドには油剤などの切り口を傷める成分が入っているケースがほとんど。
逆効果になりかねないので塗らないようにしましょう。
その点、木工用ボンドの場合は、油剤が使われていませんし、
切り口を保護する&乾燥を防ぐという効果が期待出来ます。
但し殺菌効果がない点と水溶性であるという点は留意しておく必要があります。
殺菌効果がないので、桜などの病害に弱い木に使うには不向きです。
また木工用ボンドは水でふやけやすいため、耐久性はありません。
なので雨などで濡れづらい場所での栽培や、
木工用ボンドのうえから、アルミホイルorビニール袋で覆うなどといった合わせ技が必要です。
絵具
絵具にもいろいろなタイプがありますが、
剪定後の切り口に塗るとすれば、アクリル絵具です。
アクリル絵具は水性タイプでも、
完全に乾いたあとは耐水性を発揮します。
なので木工用ボンドより長期間保護してくれます。
切り口の乾燥や虫の侵入などからもそれなりに守ってくれますが、
やはり殺菌力はありません。
またアクリル絵具によっては、
植物に良くない成分が入っている可能性もあります。
念のために成分を検索してみると良いでしょう。
墨汁
墨汁に対しては賛否両論あります。
意見や経験談の内容をまとめると、
・墨とニカワには防腐効果や除菌効果があるので良い
・黒く着色するため、日光が集まり切り口が傷んでしまう
・切り口を保護する効果はほぼ無いので、雨水などの侵入を許す
・細い枝の切り口なら良いが、ある程度大きい切り口に塗るには不向き
といった感じです。
私自身も一度、柿の木の切り口に塗ったことがありますが、
効果は無くはないけど気持ち程度かなという感じでした。
また黒く着色とはいっても薄い黒なので、
太陽光の集まりも「少し影響するかな?」くらいです。
(大きめの切り口に塗る場合や、
日当たりが強い場所に植えた木に使う場合は、
少し考慮したほうが良いかも知れません)
つまりプラス効果もマイナス効果もさほどではないのが墨汁です。
何も塗らないよりは…程度。
墨汁を使用するのであれば、もとから強い木や小さめの切り口に。
またアクリル絵具を重ね塗るなどの合わせ技をオススメします。
アルミホイルやビニール袋
取り敢えず切り口を覆うものとして、
選ばれることが多いこの2種。
いずれも単品だと隙間が出来がちなので、
木工用ボンドや癒合剤などと合わせて使うのがオススメです。
アルミホイルやビニール袋のみだと、
その下で雑菌が繁殖したり、虫が潜り込んでいた…なんてケースも珍しくありません。
その他・ちょっとレアな切り口対処法
ここまで紹介した物の他にも、
いくつか剪定後の切り口に使われている物が!
それらについてもかんたんにまとめておきます。
★車のオイル
植物に害が出る場合もあり、おすすめ出来ない。
★エアコン用パテ
殺菌効果などはないが、保護する役割としては優秀。
★ペンキ
アクリル絵具に近いが、シンナーが使われているものが多いので注意。
シンナーは植物にも害があるため避け、使うなら水性ペンキを。
エアコン用のパテ、実際に使った方のレビューを見るとなかなか良さそうでしたが…
ちょっとハードルが高いですね^^;
剪定した植物の特性や状態で判断しよう!
以上、
「剪定後の切り口にボンドや絵具、墨汁などを使うことについて」
でした。
ボンド、絵具、墨汁などでも、特定の役割は期待出来ます。
それぞれ不十分な箇所はありますが、
それをある程度補い合える組み合わせというのもあるのです。
例えば
「墨汁を塗ってから木工用ボンド。更にアルミホイルで覆う」という手順なら、
「墨汁で除菌、木工用ボンドで保護、アルミホイルで耐久性UP」という結果が期待できるでしょう。
ただし癒合剤のような専用品ではないので、
予期せぬ害が出る可能性があることも留意しておきましょう。
大切なのは植物の種類ごとの特性や、現在の状態に合った選択をすることです。
例えば病気に弱く虫も付きやすい桜と、病害虫に強い木蓮(モクレン)とでは全く違いますし、
弱っている状態か、それとも樹勢が盛んな状態かでも違います。
病害虫に弱い木や、弱っている木、季節外れの剪定をしてしまった場合などは、
癒合剤を使ったほうが良いでしょう。
また剪定した枝の太さ(切り口のサイズ)によっても、
癒合剤が必要か、代用品で充分かが変わってきます。
鉛筆くらいの細い枝なら、木工用ボンドや墨汁などの代用品で構わないケースが多いですが、
それより太い枝なら、出来るだけ癒合剤を使いたいところです。