この記事では…
「暖地桜桃と一般的なさくらんぼの違いって?」
「”暖地桜桃は普通のさくらんぼとは別物”
って言っている人もいるけど本当?」
「暖地というからには、
暖かいところでも育てられるの?」
「味も違うの?」
などなど、
暖地桜桃と一般的なさくらんぼの違いに関する、
さまざまな疑問に答えていきます^^ノ
そもそも暖地桜桃は「種」が違う
さて、いきなりですが、
ちょっと専門的をします。
実は暖地桜桃と一般的なさくらんぼは
単に品種が違うだけではありません。
「品種」より手前の「種(しゅ)」でグループで違うのです。
佐藤錦やナポレオン、南陽などの
一般的なさくらんぼは
「セイヨウミザクラ(西洋実桜)」という種のグループなのに対し、
暖地桜桃は「シナミザクラ(支那実桜)」という種のグループになります。
もう少し詳しく説明すると、
(ここまでは
一般のさくらんぼも暖地桜桃も
同じ「バラ科サクラ属」。)
その下に「種」というグループ。
(ここで「セイヨウミザクラ」と「シナミザクラ」に分かれる)
「品種」はその更に下のグループ。
(佐藤錦、ナポレオン、南陽など、
それぞれの品種に分かれる)
という感じです。
尚、セイヨウミザクラのことを、
甘果桜桃(カンカオウトウ)という
別名で呼ぶこともあります。
セイヨウミザクラの別名が、
甘果桜桃と聞いて
ピンと来た方もいるかも知れませんね。
そう「暖地桜桃」という呼び方もまた、
シナミザクラの別名なのです。
因みにシナミザクラは
カラミザクラ(唐実桜)という
別名も持っています。
名前がいくつもあって、
ややこしいですね^^;
このため、さくらんぼについて紹介しているサイトでは、
一般的なさくらんぼを甘果桜桃と呼び、
暖地桜桃と区別している場合も多いです。
「品種」より手前の、
「種」が違うのであれば、
暖地桜桃と他のさくらんぼたちと違いが
こんなに大きいのも頷けますね。
育成可能な気温の違い
一般的なさくらんぼは、
寒冷地を好む果樹です。
関東よりも暖かい地域では
実が落下してしまうため、
育てるのはとても困難です。
しかし暖地桜桃はその名の通り、
暖地でも育てられます。
太平洋側の暖かい地域で
「庭のさくらんぼが実った!」
と言っている人がいる場合、
そのさくらんぼは
かなり高い確率で暖地桜桃でしょう。
開花時期&収穫時期の違い
暖地桜桃と一般的なさくらんぼとでは、
開花時期と収穫時期も違います。
一般的なさくらんぼの木は、
早くても4月に入らないと花が咲きませんし、
収穫も5月下旬から6月頃です。
それに対して暖地桜桃は、
3月上旬には開花し始め、
ゴールデンウィーク頃には、
もう収穫することができます。
さくらんぼとしての味とサイズの違い
暖地桜桃の場合、
一般的なさくらんぼに比べると、
サイズが小さめです。
一般的なさくらんぼだと5~8gくらい、
大粒な品種だと8~11gくらいあるのに対し、
暖地桜桃の実は3~5gくらいしかありません。
ただ鈴なりに実るため、
数はたくさん採れます。
また味や食感にも違いがあります。
一般的なさくらんぼよりも、
酸味が強く、実が柔らかいです。
ただ日々手間をかけ、
的確に育てれば、
暖地桜桃でも割と美味しくなる場合もありますし、
完熟させれば、ある程度甘くなります。
また酸味が効いてて好きだという人もいるようです。
まあ正直なところ、
味って、主観的なものですからね…。
ただ「一般的なさくらんぼの味」を期待すると、
「何だか酸っぱい…」と感じるはずです。
このため
「暖地桜桃は観賞用だ」
なんて声もあります。
確かに暖地桜桃が、
贈答用のさくらんぼとして、
並ぶことはまずありません。
あまり一般受けする味でないことは、
確かでしょう。
その他、樹木や花の違い
その他、樹木や花の部分にも、
両者には細かい違いがあります。
例えば、
・地植えの場合、
樹木の高さが15メートルから32メートルにもなる
一般的なさくらんぼの木に対し、
暖地桜桃は10メートルくらいまでにしかならない。
・樹木の色も一般的なさくらんぼだと、
紫がかった茶色なのに対し、
暖地桜桃は灰色がかった褐色。
・暖地桜桃の花のほうが、
直径が小さく、雄蕊(おしべ)が長い。
などです。
1本だけでも実るところも特徴?
一般的なさくらんぼの多くは、
他家受粉といって、
他の品種の花粉しか受粉できないため、
1本だけでは実を結びません。
しかし暖地桜桃は自家受粉することができるため、
1本だけでも実を結ぶことが出来ます。
これも暖地桜桃と一般的なさくらんぼの違い…
と言えなくもないかも知れません。
しかしアメリカンチェリーの一部も
自家受粉する他、
最近では「紅きらり」や「さおり」といった、
自家受粉できる新品種も出てきています。
なので、
「これが暖地桜桃と一般的なさくらんぼとの違いだ!」
とまでは、言い切れませんね。
また暖地桜桃は、
一般的なさくらんぼの受粉相手としては使用できません。
なので例えば、
「暖地桜桃+ナポレオン」
などを植えても実りませんので、
注意しましょう。
暖地桜桃は育てやすいさくらんぼ
暖地桜桃は自家受粉できるうえに、
暖地でもOK、更に病気にも強いという特徴があります。
しかも収穫時期が梅雨入り前なので、
雨に打たれて、実が裂けたり落ちたりということも、
起こりづらい品種です。
かなり育てやすいさくらんぼだといえます。
実際に、
「暖地桜桃はもっとも育てやすいさくらんぼだ」
「佐藤錦とナポレオンを育てていたけど、
上手くいかなくて…。
諦めて暖地桜桃に変えたら、実を結んだ!」
なんて声もあるくらいです。
サイズや味に関しては、
前述したとおり劣りますが、
「さくらんぼが育ち、実を結ぶ様子を見たい!」
というのが主目的なら、
暖地桜桃でも充分でしょう。
気軽に育てられますしね♪